「なぜネギ1本が1万円で売れるのか?」(清水寅著)から考えるこれからの農業。個人農家も農協も卸売市場も八百屋もお先真っ暗だ

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私は昨年8月下旬から農業に片足突っ込んでいます。(20年ほど前にド素人で青果業を4年ほどやっておりました。その後ネットで食料品販売へ転業)

4ヶ月少々経過して自分は農家になりたいのではなく、農業を志す若者(おっさんも少々含む)たちの成功への手助けをするのがミッションだとわかりました。この話は別の機会に書くとして。

この数ヶ月で大根は播種(はしゅ・種まきのこと)から収穫・販売まで。ブロッコリーは定植(育てた苗を畑に植えること)から収穫・販売まで。さつまいもの収穫作業とやってきました。

昨年8月は猛暑日が続きました。

大根の播種作業も炎天下の中で行われました。

その時思ったのが、「こんな暑さの中で倒れそうになりながら大根の種まいて、この大根が1本100円じゃ合わない。1000円したっておかしくない」ということでした。(ということで今年農家として独立するKさんと大根1本1000円で売る方法を考えていました。)

実際は経費を除いて1本100円で売れたのは僅かな期間でした。8月以降年末まで好天が続き大豊作で大根相場は暴落しました。初めは畑の大根をほぼ全て農協に出荷していたのが、A品の2LとLサイズのみ農協が受け入れてくれることになり、最終的には採算割れで出荷停止となってしまいました。

この時点で約2万本の大根が放置されることになってしまいました。

そんなときにたしかスマートニュースの記事で、この「なぜネギ1本が1万円で売れるのか?」(清水寅著)に出会いました。

まず驚いたのが自分たちが大根1本1000円で売る方法を考えているときに、既にネギ1本1万円での販売実績があるということでした。

著者の清水寅さんは山形県天童市で「ねぎびとカンパニー」という農業法人を経営し年間200万本のネギを生産しています。その中からたったの10本ほどが「モナリザ」という贈答用のネギになるそうです。その下に8本1万円の「真の葱」が30セット、一般販売のネギで2本298円で販売しています。

本書を読んで私が農業に関わって4ヶ月ほどで感じた疑問について答えというか実際にねぎびとカンパニーが行っていることを読んでやはりなと感じることが多数ありました。

それは、

1 農協依存ではだめ。直取引による売上の安定と利益拡大を狙うこととそれに伴う営業力の強化

2 農協に出荷している限り、消費者からの反響はわからない。農家はただ農作物を作って農協に出荷して終わり

3 作っている農作物(私の場合は大根やブロッコリー)のブランド化

ということです。詳しく解説します

1 農協依存ではだめ。直取引による売上の安定と利益拡大を狙うこととそれに伴う営業力の強化

農協は大豊作になって農作物価格が暴落しても助けてはくれません。大根1ケースあたりの手数料は定額です。つまり定額手数料以下に箱あたり単価が下がったら受取拒否で終わりです。

農協に出荷停止されたら畑の作物はトラクターで潰して終わり。

自分は小売業やってたんでこの残った畑の作物をどう捌くかが儲けのポイントと思うのですが農家に方に聞くとどうやって捌くかわからないで終わりです。

農園は売りに行ったってうまくいかないから一切協力しないと言われ、早朝から大根とブロッコリーを1人で収穫して5日間販売してきました。トラックも貸してもらえなかったので自分の車に積める限りでの販売になったのは残念でしたけどね。持っていったものはほぼ完売しましたが。

ほぼ例年秋の大根はこのようになるそうです。5、6年に一度ぐらい不作で畑にある大根が全てはけるときがあるそうです。最近ですと一昨年だそうです。台風で神奈川県三浦市と千葉県の大根が不作でしたので。

それなら5年に4年(80%の確率)大根が余るならなぜ販売方法を考えないのか不思議です

2 農協に出荷している限り、消費者からの反響はわからない。農家はただ農作物を作って農協に出荷して終わり

今回柏のミナガワセレクトさんの店頭をお借りして販売することで多くの学びがありました。

一番大きいのはお客様の声をダイレクトに聞けることです。5日間もやってますと買っていただいたお客様が料理した感想を率直に頂くことができました。おいしかったらまた買っていただけます。これは農家にとって大きな励みになります。

農協に出荷している限りこの喜びは決して味わえません。仮に自分が出荷している農協の卸先のスーパーマーケットがわかったにしても自分の大根かどうかわかりません。農協に出荷している限りお客様の声は聞けないのです。非常につまらないと思います。

3 作っている農作物(私の場合は大根やブロッコリー)のブランド化

ねぎびとカンパニーさんのすごいところはネギのブランド化に成功しているところです。

スーパーマーケットに行ってみればわかりますが果物はだいたい産地表示があります。

みかんでいえば、愛媛産なのか和歌山産、静岡産なのかと。

みかんやデコポンなんかは愛媛や熊本のどこの組合がつくっているかまでブランド化されています。ただねぎびとカンパニーさんのように1社限定までのブランド化というのは並大抵ではありません。

特に野菜は産地の県名まであれば良いほうです。地名までスーパーマーケットに表示されているのはまず見たことがありません。大根なんてただ大根としか表示がないところが多いです。

野菜をブランド化できるということはそれ自体で高い品質の証明になります。

今後の農業とその周辺についてのわたしの予想

1 ねぎびとカンパニーのみならず、上場企業の子会社や大資本の農業法人のシェアの拡大。個人農家の没落

2 農業法人は売り先を確保しているため農協や卸市場を迂回して直にスーパーマーケットや飲食店に農作物を流通させることにより農協や卸市場の急速な凋落がおこる

3 農協や卸市場の機能低下(流通量の減少・販売価格の低下)によりそこに頼っていた個人農家は大きなダメージを負い、大資本の農業法人の下請け農家に成り下がる

4 同様に卸市場に頼って仕入れを行っていた個人の八百屋や零細な飲食店にも大きなダメージが広がる

農家が現状を受け入れ続ける限り上記のようになります。

この解決策は自分なりに考え農家の方にお話してみたが私の考えには否定的な方がほとんどでした。なので私は自分と考えが近い、今年農家として独立するKさんやこれから農業を志す方々の夢を叶うためのお手伝いをしたいと思います

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